9月は防災月間です。ご自宅ではどのような防災に取り組まれているでしょうか。災害時は「自助(自分で守る)」「共助(地域と助け合う)」「公助(公機関の活動)」の3つが重要と言われていますが、何よりもまず自助が欠かせません。どんな暮らしでも備えは必要なのです。
ただ、防災グッズを増やしすぎると住まいを圧迫し、いざというときに活用できません。そこで必要となるのが収納視点での防災です。適切に収納することで、防災グッズをスムーズに取り出せます。また、災害に備えながら快適に暮らせるのもメリットです。
それでは、住まいを整えるという観点から、自分や家族の安全について考えてみましょう。
まずは、災害時に用意しておきたいアイテムのチェックリストを紹介します。
備えの基本として、すぐに持ち出せる「非常用持ち出し袋」と避難生活で役立つ「備蓄品」の2種類があります。これに加え、身分証や現金などの貴重品や小さなお子様がいる場合は予備のおむつ、持病がある方は薬の準備など、必要に応じて追加します。
戸建てと高層マンションでは、必要な防災グッズがやや異なります。戸建てはマンションに比べて防犯性が脆弱だからこそ、家主は普段からセキュリティ対策を講じる傾向にありますが、マンションは管理組合に頼り切りになり、いざ災害が起きた時守りが手薄になりがちです。例えば地震や火災で損傷したマンションに侵入され、盗難の被害にあう可能性もあります。
戸建てやマンションの収納ポイントについては、「防災グッズの収納場所」で後ほど解説しますので、ここでは高層マンションにお住まいの方に特に知っていただきたい防災グッズを紹介します。
南京錠や鎖は、地震で玄関ドアが壊れたときの一時的な防犯に役立ちます。玄関を施錠できれば、持ち運べない物を残して避難するときやしばらく部屋で過ごすときも安心できるでしょう。
また、災害で停電になった場合、受水槽や給水ポンプが停止してトイレが使えなくなることもありますので、簡易トイレの準備もお忘れなく。
最近注目が高まっているのが、ワンランク上の防災食です。かつての「防災食=味気ない」というイメージとは打って変わり、不安なときだからこそ美味しいものでストレスを和らげようと、さまざまな保存食が登場しています。特に普段の食卓にも出せるような保存食が人気です。
例えば、老舗パン屋の長期保存できる缶入りデニッシュや、名店シェフ監修のレトルト保存食、名門ホテルが提供する缶詰スープやカレーなどがあります。また、全国各地のグルメな保存食セットを定期便で届けるサービスなど、楽しみながら備蓄を習慣化する取り組みが増えています。
実は、防災グッズの置き場所に絶対的な正解はありません。例えば缶詰などの保存食は防災食にも普段の食事にもなるため、キッチンのパントリーに収納できます。しかし、缶詰を食べる習慣がない場合は他の備蓄品と一緒に玄関へ収納することもあるでしょう。つまり、暮らしによって適切な収納場所が違うということです。
そこで各部屋のメリットをチェックし、自分にとって最適な収納場所を考えてみましょう。
避難口となる玄関は、防災グッズの定番の収納場所です。シューズクローゼットに持ち出し袋や備蓄品を収納すれば、さっとスムーズに取り出して避難できるメリットがあります。
【ポイント】
マンションの玄関に備蓄品の水を収納する場合は、大きな水タンク1つよりも小分けできる複数の500mlペットボトルをおすすめします。エレベーターが停止して階段で避難となった場合、10Lのタンクをかかえて移動するのは困難なためです。
戸建ての場合、玄関に持ち出し袋をしまい、備蓄品は外のガレージや庭の倉庫に分散して収納する方法をおすすめします。自宅が何らかのダメージを受けたとき、ガレージや倉庫であれば取り出せる可能性があるからです。ただし、1階は水害時に浸水する可能性もありますので、備蓄品の一部は2階などの高い場所に収納するとよいでしょう。
リビングは在宅避難を考える方におすすめの収納場所です。被害が甚大でなければ、普段の生活と同じように生活拠点として利用できます。
【ポイント】
防災グッズを目立つ位置に置くと、インテリアを損ねたりスペースを圧迫して暮らしにくくなったりします。そこで、リビングに馴染ませるためにサイドボードの中のデッドスペースや、内部が収納になっているスツールを活用すると良いでしょう。
加えて、戸建ての場合は家具の配置にも注意します。地震で玄関ドアが開かないときはリビングから出入りすることもありますので、掃き出し窓付近には物を置かないようにしましょう。
キッチンは、ローリングストック(缶詰やレトルトなどの保存食を日々の食卓でも使いながら買い足し、災害時の食事を確保する方法)を実践する方におすすめです。
【ポイント】
ローリングストックを無理なく継続するためのポイントは以下があります。
寝室のベッド下やベッド脇には、就寝中の災害発生時に活用できる簡易の防災グッズを収納しておきましょう。具体的には、ガラスなどを踏まないためのスリッパ・暗闇を照らす懐中電灯・助けを呼ぶホイッスル・障害物を避ける軍手です。かごにまとめてさっと取り出せるようにしておきましょう。
また、寝室のクローゼットの容量に余裕があれば、水などのストック品も収納できます。
【ポイント】
寝室用の簡易の防災セットはすぐに使えることが重要です。お互いのライフスタイルを尊重して夫婦別寝室にしている場合、各部屋に1セットずつ用意しましょう。
それから、2階や3階に寝室がある戸建ての場合、ベランダから避難しなければならないこともありますので、かごに予備の靴を入れておくと安心です。
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最後に、防災グッズを上手に収納しながら心地よく暮らすためのアイデアを紹介します。
まず、不必要な物を減らす作業から始めましょう。棚の中に不要品があると防災グッズが入らないばかりか、緊急時にさっと取り出せません。また、部屋の中に物が多いと避難経路を塞ぎ、転倒につながる恐れもあります。例えば次のような方法を実践してみてはいかがでしょうか。
防災備蓄倉庫があるマンションにお住まいの場合、自宅に大量の備蓄品を置く必要がなくなります。ただし、倉庫の設置場所はマンションによってさまざまです。各階にあれば便利ですが、1階に倉庫があるタワーマンションの高層階に住んでいると、災害時に物資を取りに行くのが困難になることもあります。また、倉庫に十分な防災食や水が用意されているとは限りません。
倉庫の場所や大まかな備蓄内容を予めチェックし、自宅の備蓄品の準備に役立てましょう。
収納のセオリーでは、同じ種類のアイテムを同じ場所にまとめるのが基本ですが、防災グッズは違います。1ヶ所に収納すると、家具の転倒やドアの破損によって防災グッズを取り出せないリスクがあるからです。
先述した収納場所の特徴をチェックし、暮らし方や防災グッズの特徴に応じて分散収納を実施しましょう。
被災時、パートナーや子供だけが自宅にいる可能性も考えられます。たとえ防災グッズを使いやすく収納できても、場所がわからなければ役に立ちません。防災グッズや備蓄品の保管場所は家族で共有し、誰でもすぐに持ち出せるようにしましょう。
可能なら、防災グッズの収納場所を記した簡単なマップの作成をおすすめします。分散収納した防災グッズの位置が簡単にわかり、すぐに避難の準備ができるでしょう。
災害はいつ起こるかわからず、予測できないことへの備えは困難です。だからこそ、「防災は日常生活の延長線上にあるもの」と考え、普段の暮らしに取り入れてみましょう。防災グッズをきちんと用意するとかなりの量になりますが、収納アイデアを使って上手にコントロールすれば、すっきりとして暮らしやすい住まいが実現できます。
ただ、防災グッズの収納は一度で終わりではなく、在庫管理や賞味期限の確認など家主自らの定期的な見直しが必要です。家族の安全を守ることが大切とわかっていても、仕事や育児に追われるとなかなか難しいですよね。そこで検討したいのが家事のアウトソーシングです。
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家具コンシェルジュ・インテリアライター。インテリア・家具・収納・植物記事の執筆やお部屋づくりのお手伝いをしています。「自宅がどこよりも最高の空間になる家具選び」をモットーに、ぴったりな家具を提案するのが生きがい。椅子コレクター・植物マニア・DIY好きでもあり、椅子のために家を建築し、自宅では30鉢以上の植物を育てて、休日は趣味で空き家のセルフリノベーションもしています。