洗練されたホテルやモデルルームは、余計な物が少なく生活感がないですよね。生活感がないからこそ、リラックスでき、心地よさを感じる方も多いのではないでしょうか。そのような「生活感のない部屋」には共通点があり、コツをつかめば自宅のリビングでも同じような雰囲気を演出できます。
ゆとりあるより良い暮らしの実現のため、この記事では上質でリラックスできるリビングを作るコツをご紹介します。
まずは生活感のない部屋が具体的にどのような空間なのかをイメージしましょう。具体的には以下の3つの要素で成り立っています。
生活感のない部屋は、「物が少ない」「清潔感がある」という2つの意味ですっきりとしています。そのような部屋にいると落ち着くのはなぜでしょうか。視覚情報と脳の関係から紐解いてみましょう。
そもそも人は8割の情報を視覚から得ており、目から入った情報は脳が処理しています。部屋に物が多いと、当然視覚情報も増えます。すると、脳内での処理に負荷がかかりストレスを感じるようになるのです。逆に生活感がない空間は視覚情報が少ないため、心地よさやくつろぎやすさを感じるようになります。
ただし、このコラムで目指す生活感のない部屋とは、極端に何もないミニマルな空間ではなく、適度な装飾を含んだ心地よい空間です。シンプルさの中に上品なアートを少し加えるなど、程よいすっきり感を大切にしましょう。
生活感のない部屋は単にシンプルなのではなく、洗練された雰囲気を醸し出しています。それは、すっきり感と装飾性が絶妙なバランスで成り立っているからです。
そのバランスに必要な要素が「統一感」で、インテリアのテイストや色を絞ることで空間が調和し、落ち着いた印象を与えます。
生活感を排除すると、日常から離れてホテルの部屋でリフレッシュするような特別感が生まれます。もちろん、自宅のリビングはホテルと違って次第に新鮮さがなくなりますが、それでも生活感たっぷりの部屋と比べて適度な非日常感があるのは確かです。
人が集まるリビングは、住まいの中で特に散らかりやすい場所です。そのリビングを生活感のない部屋に変えると、3つの大きなメリットを得られます。
リビングに余計なアイテムがなければ、掃除や片付けの負担が軽減され、時間の節約につながります。また、余計なアイテムを置かない習慣ができると、無駄使いがなくなってコストを節約できるのもメリットです。そうすればゴミが減り、エコな暮らしにも近づきます。
生活感のないリビングにすると清潔な状態をキープしやすく、急な来客でも慌てることがなくなります。美しく整えられた空間で、大切な客人をもてなしましょう。
物が少なくてインテリアに統一感がある状態は、開放感をもたらします。実際よりも広く感じられ、ゆったりとして贅沢な気分でくつろげるでしょう。本物のホテルのような開放感を演出するには間取りの工夫が必要ですが、ご自宅で気軽に実践する場合は物量のコントロールやインテリアの工夫だけでも印象が変わります。
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それでは、生活感のない部屋の要素やメリットを踏まえ、リビング作りの具体的なアイデアを見ていきましょう。
文字は視覚情報の1つであり、視界に入る数が増えるほど落ち着かない部屋になっていきます。すっきりとした部屋の基本は、ロゴや文字が多い日用品を引き出しや棚へ上手に隠して収納することです。部屋で使う空気清浄機などの隠せないアイテムについては、ロゴが目立たないタイプを選ぶとよいでしょう。
日用品を出しっぱなしにすると、途端に生活感が丸見えな部屋になってしまいます。物が放置される原因の1つは収納場所が決まっていないこと。リビングにある全ての物を定位置に収納し、使ったら戻す習慣を作りましょう。
特に気をつけたいのがおもちゃの放置です。リビングで子供を遊ばせる場合、片付ける場所が決まっていないとすぐに散らかっていきます。遊ぶエリアとおもちゃの収納場所を予め決め、片付けのルールについて子供と約束しておきましょう。
ゴミ箱やティッシュは、文字が一切ないシンプルなデザインであっても生活感が出てしまいます。だからと言って、無理に隠して収納すると不便です。
そのような場合は、インテリアと同化させて存在感を消しましょう。例えば、家具の素材と似た質感のゴミ箱や、一見してティッシュが入っているとはわからないオブジェのようなティッシュケースなどを活用する方法があります。
生活感のない部屋へ近づけるためには、色を厳選して統一感を出すことが必要です。このとき、カラーコーディネートの黄金比が参考になります。ベースカラー(壁など)70%:アソートカラー(大きな家具など)25%:アクセントカラー5%(装飾など)を目安に、使用する色を3〜4色程度に絞りましょう。
インテリア上級者の中には、アソートカラーやアクセントカラーを数色ずつにする手法を好む方もいますが、その場合「類似色で揃える」「トーン(鮮やかさや明るさ)を合わせる」という2つのポイントをお忘れなく。例えばオレンジと黄色を使う場合、色相環において近い色であっても2色のトーンが違うと調和しません。
人は左右対称のデザインを見ると美しいと感じ、安定感や落ち着きを感じると言われています。実際にヨーロッパでは、古くからシンメトリーのテクニックが使われてきました。
この手法をリビングに取り入れると、調和や特別感のある美をもたらします。例えば2脚のソファを正面から見て左右対称になるように並べたり、ソファの左右にあるスタンドライトをシンメトリーに並べたりするのもおすすめです。
生活感のない部屋作りは、一歩間違うとくつろぐどころか落ち着かない空間になることがあります。そうならないように、以下の3つを参考にしてみてください。
見た目の美しさやシンプルさだけを追求すると、使い勝手が悪く居心地のよくないリビングになりがちです。家族が長い時間を過ごす部屋であることを踏まえて、機能的な収納にも目を向けましょう。例えばよく使うリモコンは誰でもアクセスしやすい場所にしまうなど、動線の工夫が必要です。
白は清潔でシンプルな印象を与える色ですが、多用しすぎると緊張感をもたらします。特に純白に近い白は張り詰めた雰囲気を作り出し、くつろげるリビングとは言えません。アクセントカラーを取り入れたり真っ白ではなくオフホワイトを使ったりするなど、配色に気をつけましょう。
シンプルすぎる部屋は時に無機質で冷たい印象を与え、リラックスできないことがあります。それを避けるために、温もりを感じさせる木製アイテムや観葉植物、花などを適度に取り入れましょう。あまりに量が多いとナチュラルテイストになっていきますので、バランスに注意します。
適度にすっきりとして程よい非日常感のあるリビングは、洗練された空間であると同時に安らぎも感じさせます。今回紹介したインテリアのヒントを活用し、ホテルのようにくつろげるリビングにアレンジしてみませんか。落ち着くリビングを手に入れたら、心にゆとりが出ることでしょう。そして、さらにあなたの暮らしをより良くするのに役立つのが家事代行サービスです。
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家具コンシェルジュ・インテリアライター。インテリア・家具・収納・植物記事の執筆やお部屋づくりのお手伝いをしています。「自宅がどこよりも最高の空間になる家具選び」をモットーに、ぴったりな家具を提案するのが生きがい。椅子コレクター・植物マニア・DIY好きでもあり、椅子のために家を建築し、自宅では30鉢以上の植物を育てて、休日は趣味で空き家のセルフリノベーションもしています。